楽響



湖底の鱒より。

皆様ごきげんいかがでしょうか?

わたくし山上の湖底に住む鱒でございます。


ひとつこの場をお借りして

わたくし達、鱒族の研究結果をお伝えしたいと思います。

鱒族の研究といいましても、我々のことではありません。

あなたがた人間についてでございます。


きっかけでございますが、冬場の湖の奥の方など

それはそれは寒いもので、湖岸は深い雪に覆われ

なかなか人間など訪れてこないものでございますが、この冬

一人の人間がこの場を訪れ、自ら湖へと入り命を絶ったものですから

人間が沈んできたことに一同たいそう驚いたものでございます。


皆様ご存知ないことと思われますが

生来我々湖底の鱒族は研究が趣味の生きものでございます。

一方で、暖かい浅場を好む鱒たちには陽気な者が多く

我々と同じ姿ではありますが

性格的に、深場の者たちに比べれば

研究好きなものはほとんどございません。

皆様が魚釣りで触れ合うものの多くにはそのような

浅場の特性があるものでございますから

鱒の趣味は研究だ、などということは

皆様的には想像すらできず

ますます疑い深い事象と思われますものでございますが

地上と湖底、お互い接する機会のない深場からの告白ということで

どうかひとつ

かりそめのうちにでも目を通して頂けると幸いでございます。


我々はまず、落ちてきた標本の外観の観察からはじめ

細部の解剖へと移行し

特徴的部分を抽出し、それらのまとめを行った次第でございます。

我々は皆様のように科学を扱うことがございません。

ではそれが何かと聞かれれば

我々の言葉にあり、皆様の言葉にないものでございます、

それもこれも人間と鱒の違いでございますが故

どうか面倒がらずに聞いていただきたいことと思います。


特徴でありますが、あなた方の脳のなかに

素晴らしい事象がございました。

我々に存在しない事象でございますが、あなた方には存在する、

しかし、

あなた方が未だ発見に至らず、

我々が先んじて知ることになった部分でございます。

2つございます。


1「恐ろしい速さで情報伝達をする能力がある」


あなたがあることを考える、そのとき

脳の特定部から物質が噴出され

器官を通さず、直線的に外界に飛び出す、

大きさで言えば陽子の数千分の1の小さいものにございます。

これらの飛散先は自由であり、すぐさま消滅するものでございますが

例えばあなたの周囲に同じ人間がいる限りにおいて

相手の脳の特定部、すなわちあなたの脳と同じ部位に

それはもう一目散に伝達するものでございます。

このときの時間は0.000000............と

少数点の後に0が数十個程続いた時間なものですから

現在あなたがたの科学では、光の速度などと申しますが

人体が相手では計り知ることもできない速度でございましょう。

何か視線を感じて顔を向けると誰かと目があう、あるいは

同じ曲が2人の頭の中で無意識に流れていた、

これらの現象は我々のみに証明が可能な現象なのでございます。

個体同士が、同じ脳の同じ部位を刺激し合うのでございます。


*細かくみれば、当然のことでございますが

脳の構造はそれぞれの個体で異なるものでございます。

説明のために脳内を例えることにいたしましょう。

幼き頃からローマ字のDを活性化してきたものは

その部位が周囲を侵略し成長し

ABCDEFGHIJ…⑴といった平均的な脳に対し

ABDDDFGHIJ…⑵と進化するでありましょう。また別の者は

ABCDFFFHIJ…⑶といったFの活性となりましょう。

この差は個体の違いとして現れ

例えば、平均的な脳⑴からC,Eの伝達物質が飛び出せば、

上記のD活性の脳⑵にはCの場合のみ伝達し、後者⑶はEのみ伝達する、

こういった事象がありますがゆえ

あの人は合う合わない、あるいは、あの人に惹かれる、といった関係性が

存在するのでございます。



2.「脳エネルギー/身体エネルギーの比例について」

人間には痩せる、太る、

色々な身体的変化がございます。

(生来の特性は除かせていただきます)

食料から摂取したエネルギーに対し

ここでは脳のエネルギー使用量について述べたい次第でございます。

身長、体重、他、見た目の全く同じ二人がいたとした場合でございますが、

同じ食事をしたら、全く同じ変化が観測されますでしょうか?

我々の研究結果から導きだされる事象でございますが

食後、二人の同量の運動後において生じたエネルギー消費の差は

それはつまり

脳のエネルギー使用量によるものでございます。

脳を使う程エネルギーを消費するのでございます。

さて

このことから考えると

日々に慣れ親しんだ運動をしている限り

エネルギーの使い方にも慣れるものでしょうから

慣れるほど消費しなくなる。

その分が身体の消費につながり

運動量も変化しなければ、身体に蓄積されることとなりましょう。

対し、一定エネルギー摂取において、脳のエネルギー量を増やし

運動量を変えなければ、身体に蓄えられたものが

減っていくものでございましょう。

そんな理屈でございます、

痩せたい方は脳のエネルギー使用量をこれまでより増やす、

太りたい方は減らす、

そんなところでございます。



以上、

こちらはまことに冷え込みがきつい夕べでございます。

饒舌になるのもこの辺といたしましょう。

それでは皆様、またの機会に。


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by rakkyouh | 2015-01-21 23:06
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気品溢れる鱒族を求めて。自己満足型随筆集
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