楽響



<   2012年 07月 ( 2 )   > この月の画像一覧


景色と感性

釣り人がひとたび釣りに行く決心をすれば、
遥かなる目的地に向けての移動が強いられる。
このとき、
釣り人はその途中の景色を楽しむことが出来る。
車窓から見える光景は
星空であるか、真の暗闇であるか、濃霧であるか、
朝焼けであるか、紺碧であるか、夕焼けであるか、
時間帯により様々であるが、
時折、激しく感性に訴えかけてくる光景に出会うことがある。

さて、
その感性を揺さぶる光景を目にし、我はまず視覚の酔いに遊びはじめ、
更には、聴覚の酔いを欲す。
静かな高地の早朝の濃霧を走るのであれば静寂がよろしく、
広大な見晴らしの夕暮れを走るのであれば壮大な音楽を欲す。
このとき、
音楽について知識はなかれど、
おもいついて再生した壮大な音楽を壮大な景色と合わせれば
きっとこの音楽はこのときのために作られたのだと納得し
普段あらゆる場面で聞くよりも、耳に沁み、景色も更に目に沁みるものである。
この段階で、その音楽にたいして新たなる景色をリンクさせることで
愛着が深まる。さらには、
その音楽家が表現しようとしたものは何なのかを、感覚において
景色と旋律の調和によって、勝手に自己解釈をし、
ああそうだったのかと、勝手にあらためて感動を覚えるものである。
ここで逆に考えれば、壮大な音楽が生まれた背景に
壮大な景色を糧として作られた音楽があると考える。
では、壮大でない個室で作られた音楽なら、
決してこの状況で聞きたいとは思わない。

やれ、
我々は移動時の光景においてすら
さらなる感性の高次元的リンクを必要とするのである。
我々が扱える感性の全ての協調、そのためのもがきこそが、
我々の知的好奇心的欲求の全てであろう。
こういった状況は全くもってほんの一瞬のことである。
しかし、その刹那を
いかに最大限に感性にリンクさせるか、
この最も高みに達するとき、最上の感性的満足が得られる。
いつか。
それは、もがきもがきあげいたすえの
個体の臨終の一歩手前こそ最上であろう。
ゆえに、感性は死ぬまでもがきもがき磨くのである。
f0167000_23581688.jpg
f0167000_23575493.jpg

[PR]
by rakkyouh | 2012-07-18 00:00

生物からみた世界を読んで。

数年前、魚が釣れないため、釣りに関するあらゆる本を買い漁っていたころに
買った、岩波文庫ファンとしての一冊。

「生物から見た世界」ユクスキュル 

いわゆる完全な科学的解釈に胡散臭さを感じる部分。
これは、
世界はまったくもって辻褄が合って出来ているような感覚が植え付けられた科学的教育結果から、
いやまて、ものごとにはもっと感覚的な、経験的部分が結構あるのだなと感じることが増えてきたからである。
例えば漁師のおっさんが毎度大海原で同じポイントの上に船を停める、
あるいは、植物の咲く季節と、水の中の魚の動きをリンクさせ、漁期を判断する、
こういった幾多の事実が物語る事実。
これらの経験的感覚から生まれた疑問を
科学的な実験を混ぜ合わせたもので少しでも紐解こうとする内容、それがこの本だ。

では、
我々の目線で世界を見るとき、世界は同じ時間で進んでいるだろう。
しかし、ユクスキュル的観察眼ではどうなるか。

人間の目で動きがスムーズにみえる間隔、映画のコマで使われる、18分の1秒。
これが、闘魚(betta)メコン川あたり在住 では、およそ30−50分の1秒。
これを36分の1秒と仮定すれば、
闘魚は、我々の目で1秒に感じられるものが、2秒に感じられている。

この感覚を自分なりに解釈していくと、
魚も種類によって違いはあるだろうが、
動きの素早い山女魚などは、我々よりも数倍物事がスローにみえていて、
岩魚などは、案外同じくらいかもしれない。
これらを考えると、相手とする魚種に対して、自分目線を疑い、
信じられないスピードでルアーを引いてみるとか、相手目線のスピードを考え、
釣りをしないといけないことが分かる。

試しに釣り堀で気違いのようにミノーを引いてみたら、山女魚系の何かがよく釣れた。
試しに釣り堀でゆっくりリフトフォールをしてみたら、岩魚系の何かがよく釣れた。

この感覚で、ルアーの動きに限らず、
天候、流れとの関係、色、その他諸々を科学するのは、我々の楽しみである。

相手目線で、相手の能力を測りながら、特徴を知っていく、
このような楽しみ方の目線を教えてくれた本である。
[PR]
by rakkyouh | 2012-07-10 23:23


気品溢れる鱒族を求めて。自己満足型随筆集
以前の記事
お気に入りブログ
その他のジャンル
最新の記事
2017 中禅寺初詣
at 2017-04-03 22:08
新潟 荒川の鮭
at 2016-12-11 22:59
アシストフック美学
at 2016-02-20 19:20
過剰な道具と夏の終わりの中禅寺
at 2015-08-30 18:15
ALASKA
at 2015-08-16 17:49
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧