楽響



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初夏から夏にかけて。

濃密な霧が身にまとわりつく初夏の闇は
音感で言えば冬の雪夜のような静けさと
気配で言えばその奥に何者かが息をひそめてこちらを見つめる様な生命感に溢れ
恐い。
駐車場からポイントまで徒歩1時間、今から1時間後にうっすら明るくなり始める。
真の闇である。
先行者がいれば心にゆとりが出来る。
この先の人の存在が確かだからだ。
しかし、今日は車が1台も止まっていないことから察するに
どうやら私が先行者のようである。
真の暗闇歩行とは何から何まで恐怖の対象で
さらに深い霧が追い打ちをかける。
頼りにしていた月明かりの優しさが味わえず
右を見れば大きく開けているはずの湖面が白く閉ざされ
左は山の斜面であり
視界はおそろしく狭い。
ヘッドランプは頭の向く方向のみを白く濁らせながら照らす。
何者かの鳴き声、葉の擦れる音、何者かに見られている感覚、
その全てはヘッドライトの照射方向外からのものである。
そうこうしていると、自殺者や溺死者の話を思い出し
恐怖が背筋の下の方から首筋に向かって不穏なそよ風を立てるのである。
立ち止まっては辺りの気配に耳を澄まし
己の精神の弱さに情けなくなりつつも
もし現れるのが自分より強い獣であれば
竿一つでどう戦うかの手法を想像し
大抵その結末は無惨な敗北である。
現れるのが全く信じていないはずの化け物であれば
どのような念仏を唱えるかの作戦を練り
大抵その想像中に背筋がササッーと冷え過ぎて危ないので、それ以上の想像は止める。

そんな釣行も今年は時期的におしまい。
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所変わって夏の渓流。
ここにはマイポイントが存在し
必ず一尾出る場所がある。
この魚は尺にわずかに足りないが
体高豊か、目つきは大人び
体色は底石の色に合わせたように渋く
激しいローリングでバラシを覚悟させるような抵抗をした、
後まで生き残って欲しい一尾である。

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by rakkyouh | 2010-08-17 23:55


気品溢れる鱒族を求めて。自己満足型随筆集
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