楽響



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-脳内ツアー-

釣行を明日に控える今、頭の中を巡る妄想。
釣りは準備をしている時間が一番楽しいのではないかという意見は、
世界中の釣り人共通のほぼ間違いのない経験則である。

迫り来る寒中の解禁の様子、
ゆっくりと桜が舞う春の光景、
春蝉の歌を聴く新緑の森、
そして
グイとしなる我が玉虫色の竿、
はたまた、ネットリとしなる渓谷でのグラスロッド。
そういった妄想は、妄想であるから、必ずや思った通りになる。

ムフフと笑いながら、我が網膜は、
現実世界の己の道具やらを見渡し、
何度済ませたかわからない動作確認を再度施し、
必要以上の細かい仕分けをしようとし、
その余地がないことを確かめる。

さてさて、片手には安葡萄酒。
旨いか不味いかの味よりも、
今宵酔えればそれで良いと口に含み、
果てしない妄想をさらに加速させる。

妄魚を釣り上げた後の、己の超クールな慣れた洒脱な身のこなしの想像、
あるいは
その時の手の震えを見せぬにはどうしたら良いかという想像。

釣りは準備をしている時間が一番楽しいのではないか、
だとすれば我輩は、
明日の釣りが始まるまでは少なくとも楽しいのである。

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by rakkyouh | 2009-01-29 23:06

絶望

夜明けまでの一時、暗闇で準備をしながら、
首を90度上方に傾ければ、
ナガレボシ。
果たしてこれは幸運の知らせか、あるいは
地球に訪れた広大な宇宙のカスであるか。

今日の私はロマンチック主義者ではない。
冷静な思考を重ねて準備をしてきた現実主義者であるから、
ナガレボシは宇宙のカスにしか見てはならないのである。

さて、ということは、
ナガレボシから見た私は、
地球のカスである。

宇宙のカスと地球のカスが目を合わせて、
片方は一瞬、思わずも願いを脳裏によぎらせ、そのまた一瞬後に恥じて後悔し、
もう片方は、もう一方のカスの思考の速度を測り、おまえは鈍いと笑う。

宇宙のカスに笑われてから7時間。

いつもと何も変わらぬ湖の手応えのなさに、
ふと溜め息をつくと、
その溜め息のためにせつなさが上塗られる。

首を90度上方に傾ければ、
見えるものは蒼一色。

できれば、この焦燥を笑ってもらいたい。

しかし、そこにあるのは、
さらりとしたドライな雲と、精密に出来た感情のない飛行機くらいか。

出来れば、この失態を笑ってもらいたい。

しかし、
凪いだ鏡面のような湖面は無表情である。

石に腰掛け、辺りを見渡し、あらゆる目に見えるものを模索しても、
きっと全てのものは心動くことがない、
いやまず、こちらから声すら届かないだろうと気付いた瞬間、
私はいつの間にかロマンチック主義者になっていたことに後悔した。

頭を振り、現実に戻り、
カスは帰路につくのである。

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by rakkyouh | 2009-01-21 19:25

私は湖畔に住む、あなた方が呼びますには、通称 ”鴉”でございます。

さて、先日の湖畔での出来事をひとつお話しいたしましょう。

あれはそう、夜明けもそろそろの、しかし、暗闇に弱い私の目には未だ何も見えない
時分のことです。

ただただ音がするばかりでしたが、おそらく釣り客でございましょう、
何もこんなに早くから・・ という頃から、シュッと竿を振る音が聞こえ始めました。

私がひとつ気がかりだったのは、私が昨夜、岸に打ち上げられた”ハヤ”を一口啄みながらも、暗闇の迫りにかなわず、泣く泣く置き損じたことでした。

さてさて、釣り客は、距離を置いて二人おりましたが、その一人はヘッドランプをお持ちでした。
明かりを頼りに、私の残した”ハヤ”に気付かれますと、彼は何やら急ぐ様子で巨大な魚を模したモノを投げ始めました。バシャン、バシャンと、それは何やら滑稽に着水し、手元に巻き上げられ、再び投げられている模様です。

徐々に夜が明け始め、私の頭も回転し始めたのでしょう、私が気付いた彼の行動の原因とは、そう、わたしの啄んだ”ハヤ”を、きっと、つい最近巨大な魚に啄まれ、息を引き取った後、岸に打ち上げられたとお思いになったのでしょう。ああ、なんと無惨な結末でしょう・・、私が残しさえしなければ、彼はあの様な無謀な行動に移ることはなかったのです。

日の出とともに、私の”ハヤ”から彼は離れたものですから、
私は2度、3度と啄み、くわえ、誰にも邪魔されぬ住処へ持ち帰ったのです。

しかし、夜明けの彼の行動を覚えている私は、不思議と罪悪感が残るもので、
時間の許す限り、彼の成功を祈り、見つめたものです。

やがて陽は山間に隠れ、陽の当たらないその場所には寒風が吹き乱れ、
ただただ波が強くなる次第でございました。

しかし彼は以前と比べれば多少小さいものの、何か魚を模したものを投げ続けます。

私に出来る唯一の罪滅ぼしは、ただ見つめ、彼の成功を祈ることでございました。

しかし、長い時間が経ち、私の目の効く時間がそろそろ終わろうとする頃、
彼は、夜明け前、降りて来たであろう野道を登り、アスファルトの道を進み、
それはもう我々鳥族の目にも見える疲労感を携え、帰っていかれました。

結局、私の祈りは通じることなく、彼は一つの獲物を得ることも叶いませんでした。

私は日暮れと共に、残しておいた”ハヤ”の
頭部を美味しく頂き、眠ることに致しました。
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by rakkyouh | 2009-01-06 22:27

2009開幕

年初め。
東照宮、除夜の鐘の鳴り響く中、
ふと撮った篝火の写真に、火鱒の踊りを見る。

ふふっ、これはきっと今年いいことがある前触れであろう!
そして見て頂いた方にも幸運が訪れることを。

                        楽響


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by rakkyouh | 2009-01-02 11:54


気品溢れる鱒族を求めて。自己満足型随筆集
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