楽響



2017 中禅寺初詣

白い解禁日。
いろはの坂は途中から白化し
えいさと上りきれば当然のごとく、
湖面以外は白一色、無垢である。
白く透き通った夜は、まだ足りぬと言いたげに、空から白を撒き続ける。地の白と宙の白。
はたから見れば凍てつくようだが、実際はふわりと暖かい。
修行僧達が身支度を整える駐車場に着いたのは解禁前夜22:00。夜灯を灯しすでに竿を背負い出発するエリート僧達を見送りながら、麦酒をすすりつつ、仮眠。足りずにウイスキーを嗜み、酔いと、高揚に抑えられた睡魔との狭間に陥り、夢と現実が曖昧かつ朦朧とした意識の浮遊を楽しむ。
朝4時、出陣。
場所は決めていないため、山側に歩き、良さそうなところが空いていたら入る予定であった、しかし、気がつけば歩いて1時間。ここまで全て、僧達の夜灯が等間隔にたなびいていた。ようやく居場所を確保。開けたその場所は、絶好の場所には程遠いが、居心地は良い。相当端に追いやられたが、修行僧の多いことに、同じ感覚を持った者達が多くいることに喜びがふと沸き起こる。
と、同時に懐かしい花火の豪快な音が男体の麓に響き渡る。ここ5年間は自粛していたそうで、いざこれを聞けたということは、徐々にではあるが、この湖の回復する証であり、我々釣り人のみならず、鱒族にとっても喜びの音となったと思いたい。
さて、2017年の始まりである。
数投ごとに移動し、元気な鱒を探す。
フォール中、心地よいまでに無垢なアタリが竿先に現れる!ブラウンである。同じように2匹、40cm付近の者を手前で釣り上げる。やはり解禁日、冬眠開けの嬉しさがこみ上げてくる。反応がなくなったのを機に、遠投に切り替える。7:00付近、この湖の全ての活性が上がるプライムタイム。そのとき、着底と同時に巻き始めると、何かおかしい、着底ギリギリの食い上げであった。アタリなしで巻きと同時にかかる感じはレイクに多い。距離のあるところから追い、そのまま湖底スレスレで食いついているのだろう。対して小者はひとしゃくりの後にアタリが出ることが多い。いよいよ引きは強くなり、時折ドラグが鳴る。糸は強い。時間と共に期待が膨らむ。余裕を持ちたい意識とは無関係に息が荒くなってくる。果たして水面に現れ暴れる姿は70付近のレイク!自己記録サイズ、今日来て良かった!しかし、なんと最近の恒例、針のすっぽ抜け!アアア!
悠々とその鱒は深みへと戻って行った。
カエシはレギュレーションで禁止のため、潰してある。スポーツマンシップ。イギリスでは100年以上前から、釣りに対する姿勢として、自らにハンディーキャップを課す、餌ではない疑似餌を使うフライフィッシングを発展させ、優れた釣り文化、人物を排出してきた。バラシにより、ここでカエシを潰さなければよかったという思いが浮かぶのは、浅はかな俗人の自己記録への執着による強欲である。ここではスポーツマンシップの名の下に、鱒に対するハンディーキャップとしてのバーブレスレギュレーションが存在する。さて、真のジェントルマンに負けぬよう、極東のジェントルマンはどのように振る舞うべきであるか。ただその悠々と帰る鱒に拍手を贈り、見送り、次回の勝負に向けての精進プランを練るのみである。
鱒釣りの聖地。
訪れる人間もその場にふさわしく、高潔でありたい。
そうなりたい。
しかし
まだ高潔になりきれぬ我が心境は声には出さねど心で叫ぶ。
悔しー!
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by rakkyouh | 2017-04-03 22:08 | トラウト
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気品溢れる鱒族を求めて。自己満足型随筆集
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